整体の歴史は深い?
近年耳にする機会の増えた「整体」ですが、実は歴史は古く、起源は2000年以上前の中国だという事が通説です。この頃の整体は推拿(すいな)と呼ばれ、日本に伝わった際に様々な流派が独自の技術や進化を遂げ、今日の整体があると考えられています。
日本ではあまり聞きなじみはありませんが、中国では漢方や鍼灸と共に中国三大医学の一つと言われ、今でも病院内に内科や整形外科のように「推拿科」と言うものがあるほど一般的な施術で、薬などを使わず術者の手技を使い、体の不調を改善するものを言います。
カイロプラクティックと何が違う?
カイロプラティックとは1895年にD.D.パーマーが考案したアメリカ発祥の主義療法で、日本の整体に影響を与えた療法のひとつです。カイロプラクティックは主に神経系に作用、人間の体がもつ本来の自然治癒力を高める事を目的としています。
他にもアメリカ発祥の技術でオステオパシーと言われる筋肉に対して刺激を与え、体を整える手技があり、これも日本の整体の技術の中に組み込まれています。
カイロプラクティックはアメリカでは4年生以上の大学機関で4200時間以上の教育を受けた人にしか取れない厳しい資格となります。しかし、日本ではカイロプラクティックに対する規制が存在しないため、短期間のセミナーを履修しただけで自由にカイロプラクターと名乗る事ができ、施術中の事故等が起こってしまう事もあり、消費者庁が発表したデータでは、事故件数が2009年9月から2017年3月末までで1483件にのぼり、”法的な資格制度がない医業類似行為の手技による施術は慎重に”と注意喚起が行われてしまいました。
現在でも、日本には1万人を超える人がカイロプラクターを名乗っていると言われていますが、その内、実際にカイロプラクティックの大学教育を受けた国際基準カイロプラクターの技術を持つ方は800人ほどと言われています。
もちろんしっかりとした技術・知識・経験を持った素晴らしい施術者がいる事は確かな事実ですが、一方で未熟な技術者も存在しているため、このような状況から本当の技術を持った施術者に出逢うことは困難なうえ、一般の患者様には見極める事が難しい状況となっております。
日本の整体
日本の整体とは、「体を整える」日本武道等で古くから見られる「活法」の流れを組んだ日本独自の技術で、明確な基準のようなものがなく、様々な流派と技術が混在し、規定がない状況にあります。
日本で整体が確立し始めたのは明治時代以降で、従来の日本で行われていた指圧に加え、上記の推拿・カイロプラクティック・オステオパシーなどを新しい技術を様々な流派が取り入れ、切磋琢磨しさらに発展させたものとなります。
日本の整体にもカイロプラクティック同様に国家資格などは存在せず、流派や整体師の経験などによって独自の基準、考え方が伝えられ、技術を磨いているものとなります。
共通する認識としては、骨格筋や骨格・骨盤の歪みを正すということであり、明確なゴールはありますが、ゴールに至る道筋や方法が違うという認識になります。
もちろん施術を行う整体師の技術力や知識にも差が生まれ、カイロプラクティック同様に施術者によっては効果が全く違う事もあり、向上心を持ち常に勉強熱心な整体師は新しい技術を積極的に学び、今現在も技術を昇華させ続けていますが、現状に満足し停滞してしまっている施術者も存在します。
より良い物を技術を提供する為に日々の鍛錬を怠らないという事は整体師や医師等医療従事者に限らず、「美容師」「料理人」「職人」と呼ばれるような技術職に就く人には大切な心構えであり、選ぶ立場にある方が信用における人物か見極めるための一つの基準となる事かもしれません。